「くさの 中で コオロギが ないている / ひとすじに わきつづける いずみのように / ああ 手にすくいたい…」
まど・みちおによる、小さな命への讃歌。虫の章と動物の章とのふたつに別れ、そのどちらにも、身近な生き物への敬いと愛があふれています。アリに申し訳ないと思い、蚊がくるとご飯を食べにきたと思い、ブタやヤマアラシやジュウシマツに寄せる言葉を優しく紡ぐ…。シンプルなモノクロの写真のみのビジュアルも清々しく、この詩人にふさわしい空気が漂います。簡潔に、命を寿ぐ。銀河社から70年代に刊行の、物や動植物などテーマ別に別れたまど・みちを詩集シリーズの一冊。白いページに薄い黒ずみや変色が見られる箇所がありますが、おおむね古書として標準的な状態です。