人形劇団「プーク」に参加し、長く人形劇の普及と実践に携わってきた著者があらわした人形劇入門とも言える本書。「人形劇とはどんなものか」「けいこから上演まで」「しごととなかまを育てるために」など、実地に基づいた人形劇の現場からの体験が複数の項目にわたって紹介されています。舞台で演じる「劇」というものが、どう人々や子どもの心に宿り、やがて芽吹いてゆくか。それら普遍的なテーマをも、人形劇を通してこの本では触れられているように思えます。人形劇だけでなく、人形を用いるという行為そのものに興味のある人にも。そして、熊田五郎(熊田千佳簿)による細密かつロマンチックな昆虫モチーフの装画も素晴らしく、この本のみどころでもあります。経年によるシミ・黄変等随所にみられますが、綴じもしっかりしており、内容を楽しむ分には問題ありません。装丁も目立つ難はさほどみられません。表の見返しに「贈呈」の印あり。ご了承の上お買い求めくださいませ。