太陽が輝いて、風が吹いて、雲が少し動きだすと、その下で、大きなあくびをして、背中をちょっと掻く。新しい自然に出会ったような気持ち。―「01 | APRIL1995」
ファッションブランド「SUNSHINE + CLOUD」のカタログに書かれている、短い文章。詩とも、エッセイともつかず、そよ風や陽だまりのようでもあり、服に袖を通し、穏やかに生活する日々を想像させる。それは、美術作家・永井宏によるもので、生活の延長にある芸術、豊かな感性が、素朴な言葉で綴られています。本書は、亡くなる直前まで書き続けた、それら、「友達のような言葉」を束ねた一冊です。それぞれのセンテンスは、長くても数行程度。夜眠る前、家事をして一息つきたいとき、朝のコーヒーを飲むあいだ、少しずつ読みすすめたい。
発行は「信陽堂編集室」。夏葉社から刊行された永井さんのアンソロジーブック『サンライト』の編集を手掛けた、丹治史彦さんらによる編集室です。文章にも、造本にも、肩の力が抜けるような美しさがあります。