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自立するほど分厚い一冊に綴られるのは、本を読みながら流れゆく日々。
読み切るまでに体力のいる大作の代表的な作品、プルーストの「失われた時を求めて」ちくま文庫版全10巻セットをうっかり買ってしまったという、会社員の著者。幾つかの本にヒントを得ながら、亀のようにのろのろと日記を書き出した。日記は、本題であるはずのプルーストになかなか触れず、遠回りを楽しむように、雑多にたくさんの本を巻き込んで、それぞれの作品を頭のなかで繋げていき、わかろうとしていく。読書が日常に落とし込まれると、次々と読みたい本が思い浮かび、終わりがない。本が多すぎて困ると言うひとは、だいたい嬉しそうな顔をしている。多読のひとの愉しみを存分に綴った一冊。装画・西淑。