あれを読もうこれも読みたい…頭の中でいつのまにか本についてのリストを作ってしまう人は多いのでは? そんな、著名であれ無名であれ過去のどこかの人々が作った本のリスト、あるいは架空の書物の中で作られた本のリスト、執筆者自身が選んだ本のリストなど様々なリストを本書では紹介し、それにまつわるエッセイがおさめられています。「画家が読んだ本のリスト」「子や孫のために作られた絵本のリスト」「ミステリに描かれたブックフェアのリスト」「古本に載っていた自社の出版案内のリスト」など、実に50本近いリストがずらり。5人の読書人たちが選んだ様々な視点のリストは、まるで極上のアンソロジーを読む楽しみにも似て。書籍巻末にある自社出版物一覧などを凝視せずにはいられない種の人々はもちろん、次の一冊を何にするかとゆっくり考えたい人にもおすすめです。書物の世界を照らす多様な視点がユニークな一冊。ネットで目当ての本を探すだけでは物足りない、本の森を逍遥したい、そんな気持ちを改めて思い出させてくれます。
執筆者:南陀楼綾繁、書物蔵、鈴木潤、林哲夫、正木香子