センスの良し悪しってなんだろう? スタイリスト・岡尾美代子が自問し、自身の選んだものを紹介しながら「センス」について読者とともに考える。美術館で、旅先で、街中の色彩からも様々にインスピレーションを得、試し、やがて自分のものとなってゆく。それはファッションだけでなく、インテリアも含めたライフスタイルすべてに「細胞分裂」のように枝葉をのばしてゆく。「簡単なもの、悩ましいもの、無数にした選択が道筋となり自分のセンスになる」。単なるお気に入りを並べただけではなく、一人のスタイリストの発見や興味の行方をともに楽しむうちに、自分の中の新しい嗜好の芽に気づくこともできるかも。でもやはりそれ以前に、岡尾さんが見た美しいもの愛らしいもの心惹かれるものを眺めているだけでも楽しい、『Room talk』や『Land Land Land』の系譜にもつながる魅力的な一冊です。自分だけの「センス」とは。生涯終わらない問いを楽しむために。