日本専売公社自身がタバコをデザインの観点から眺め紹介した非売品の一冊。大正4年から昭和43年まで、パッケージの変遷と魅力をカラーとモノクロをまじえて俯瞰した内容は、デザインファンのみならず、日本人とタバコの関係の深さをあらためて考えさせられる文化的資料としての性質も備えています。朝日、ゴールデンバット、光、ピース、ハイライト、etc。切手のように、世間に大きなことがあると特別な意匠をこしらえ、節目節目でデザインを一新し、世の中の移り変わりとともにパッケージもまた変わってゆく。一時期までは日本の庶民文化のひとつの相を表していたタバコですが、その意匠デザインも大きな魅力のひとつ。制作された昭和44年にはデザインの歴史的資料としての側面が大きかった本書ですが、今は消えゆくタバコ文化を偲ぶ郷愁に満ちたものとしてみることもできるかと思います。様々な観点から興味深い大正・昭和の絢爛たるタバコ包装集をお楽しみください。函欠。特に目立つダメージはなく、全体的には古書として標準的な状態です。