廃園に咲く5000年前の草、そこをおとなう狐、裸婦、不思議なことともの…。武井武雄による叙情あふれる寓話が上質な紙で大判の書に美しく造りあげられています。黄と緑、橙色、淡彩画のようなにじみの中に独特のモダニズムが息づき、ため息のでるような端麗さ。函のデザインはまた一味違う趣で、武井武雄の魅力を幾重にも味わえる本書。発行は中央公論ですが、武井自身がこだわり続けた造本芸術の「刊本」の雰囲気も備えた美々しい一冊。こちらは限定680部中の55番となります。表の見返し部分にラベルをはがしたアトあり、それ以外は函にくすみ等はみられますが、特に目立つ難はなく状態は比較的よいものと思われます。