70年代に刊行され、隠れた名作の多い「ほるぷノンフィクション絵本」からの一冊。こちらは日本におけるトリックアートの第一人者でもある福田繁雄の不思議な絵本。上からも下からも登れる階段? 逆さまになった女の人がもう一人?...などなど伝統的な「だまし絵」の中にもこの作者ならではのデザインの妙やセンスがちりばめられていて、見ていて実に楽しい。錯視を題材に絵という二次元の中でもこれだけ立体的な遊びができるという、実験的な試みも随所に感じられる福田繁雄の70年代の傑作絵本です。大人も子どもも一緒に楽しめる一冊。背にヤケあり、それ以外は経年によるくたびれは見られますが、おむね古書として標準的な状態です。