画家・朝倉摂が描いた愛する猫たちのスケッチ集。三四郎、悪太郎など、洒落た名前がつけられた猫たちの姿態や様子がシンプルなペン画であらわされ、一匹一匹の特徴や体の動きなどがじかに伝わる躍動感とともに、猫ならではのどこか謎めいた雰囲気やしどけなさも存分に描かれています。作者だけに見える猫の姿が見事に映し出された本書は、余白を使ったページの構成も美しく、猫をまた違った角度、違った価値観で眺めることのできる作品集。エレガントながら野性味も備えた猫たちの表情が本当に美しい。78年の刊行以来、息長く書店店頭でも販売されながらも近年は入手不可となっている佳作です。ダストジャケットに擦り切れ等あり、経年相応のくたびれもありますが、それ以外は概ね古書として普通の状態です。