舟越桂が自身の子どものためだけに製作したおもちゃやオブジェ。それらを集め、一冊の写真集に仕立てた本書は、その愛らしさだけではなく、他の何にも邪魔されないイノセントな空気に包まれています。表紙を飾る息子の横顔を模したハンガーはあまりにも有名ですが、その他にも、木っ端の家や人形、かぶってくれなかった帽子、様々な素材でできた教会など、その時その時に「喜ぶだろうか」と思いながら精一杯制作した気持ちが伝わる、読んでも見ても楽しい本書。同時に、子を思う一人の父親としての心情も読む者に静かな感動を与える作品集です。制作の多くは80年代前半で「ミセス」での連載が1996年となりますが、過ぎ去った日々を思い返して綴られたエッセイも素晴らしい味わい。
こちらは古書となります。経年によるカバーのくたびれ等は見られますが、本文は特に目立ったダメージはありません。