フィッツジェラルドの妻ゼルダのごとく、ウィリアム・フォークナーの妻エステルも小説を書き、そしてそれに触発され夫は詩から小説へと転向した― 本書は、これまでまったく語られることのなかった妻エステルに焦点をあて、未踏の視点から論考を重ねた新しいフォークナー論です。『サンクチュアリ』『響きと怒り』『八月の光』…作家を南部社会と人種意識というテーマに向かわせたものは何だったのか、エステルの創作の分析を軸に、その問いに答える構成は新たなフォークナー像を読者に呈示する非常に興味深いもの。特に現存するエステルの三つの短篇作品(「ドクター・ウォレンスキー」「渡航」「星条旗に関わること」)を論じた第二部は、研究書の枠を超えて小説というものの面白さをあらためて教えてくれる読みごたえのある内容です。シックな装丁は、銅版画家・山下陽子と空中線書局の間奈美子によるもの。当店のみの特典として、おまけのリーフレット「エステルの手紙」つき。
商品情報 |
著者 | 相田洋明 |
発行 | 松籟社 |
サイズ | 135mm x 195mm |
ページ数 | 243P |
その他 | ハードカバー |