大著『日本文壇史』執筆過程から一般向けとして生まれた、往年のカッパブックスの中でも名著の誉れ高い本書。文芸評論家としての伊藤整のライフワークである日本文芸の歴史を気軽にひもとけ、また、我が国における文芸・文壇の変遷と熟成に熱く触れることのできる意義深い一書です。この作品を復刊させた夏葉社の文学への眼差しへ敬意を表したい一冊。「だいじなのは最新の事項や年表ではない。文学史のおもしろさや魅力が、読者の胸にしみこむことである」という荒川洋治による巻末エッセイの言葉がこの本の真髄のすべてを表しているといえるでしょう。
著者:伊藤整 / 出版社:夏葉社 / 110mm × 117mm / 448P / ソフトカバー