記念すべき夏葉社刊行の第一作目。ニューヨーク生まれのユダヤ人作家・マラマッドの同タイトルの短編集の中から三作品が選抜されています。白い帽子から発生した、ある美術学校に通う二人の教師の奇妙ないさかいを描いた表題作ほか二編。いずれも、この作家の持つ独特のユーモアと悲哀、失望と希望、生きる上でのやるせなさ、そして奇妙な味ともいえる独自の感性が発揮された粒ぞろい。日本で再評価の声が高いといえど、多くの作品を読み返すことは今も難しいマラマッドに触れることが出来る貴重な一冊であると同時に、この版元の出発にふさわしい味わいと輝きを持った名品です。巻末エッセイには荒川洋治。装幀には和田誠。
著者:バーナード・マラマッド / 訳:小島信夫、浜本武雄、井上謙治 / 出版社:夏葉社 / 133mm × 194mm / 160P / ハードカバー