映画や小説などで名を聞く「シチリアンマフィア」。本書『Fear Guards the Lemon Grove』では、そのシチリアンマフィアがなぜ登場したのかを、きっかけとなったと言われる19世紀前半に急増したレモンや柑橘類への需要から掘り起こし考察しています。歴史的背景や論旨も非常に興味深いものですが、やはりこの本で圧倒的なのは、著者クラウス・ピヒラーによるその数々のアートページ。緑濃い大地、実る果実、敬虔さと信仰。そしてその対極にあるかのような、暴力、殺人、血、あるいはそれらをほのめかす空間などを巧みに織り交ぜながら、マフィアとレモンとシチリアの分かちがたい関係を視覚的にも構築していきます。不穏さの中の退廃的な美と畏怖、そして自然の恩恵。全体を覆う混淆としたアートディレクションが冴える、不思議な魅力を放つ一冊です。テキストは英語。
著者:Klaus Pichler
発行:Fw:books / 2024年
サイズ:170mm × 240mm
その他:208P / ソフトカバー