きょうはなにをめにいれただろう、どこにこころをおいてきただろうと遠回りに耳をかたむけて折りたたんでおおらかに削ることの練習。絵とことばが対岸にいるように思い込んでいたときに、その対岸に渡るためちいさな舟を漕ぐように練習したいと思った。のがはじまりだったきがする。
〈 あとがきより 〉
尾道を拠点に活動する美術作家・白水麻耶子さんが綴った、絵と言葉の絵日記。日々の中から選びとられた、89日分の記録が一冊になりました。
描かれているのは、2018年から書きためられた中から選ばれた日々の断片。ページをめくれば、白水さんから生まれた生きものたちと、掬いとられたこころの揺らぎが、現実と空想のあわいをたゆたうように広がります。
嬉しかったこと、かなしかったこと、誰にとってもありそうで、でも誰のものでもない、かけがえのない気持ち。「いつ・どこで・誰と」と具体的な記述はなく、白水さん自身もいま読み返すと「何のことだったか思い出せない日もある」と言います。
ちいさなことや心象を動物や人、植物などを重ねて、静けさの中に物語を秘めた白水さんの作品のように、絵と言葉もまた、読む人のこころにやさしく収まり、寄り添ってくれる。そんな作用があるように思います。
物語のはじまりのようで、日記のようで、詩のようでもある――。眠る前のひとときに。心がざわついた日の静かな時間に。おだやかに凪ぐ水面のような、余白に出会える一冊です。(岡本)
著者:白水麻耶子
装幀:⻆谷慶
発行:えほんやるすばんばんするかいしゃ
サイズ:182mm × 128mm / B6横
その他:116p / 並製本 / オフセット印刷