京都新聞で記者をしながら、独学で洋裁を習得し、あらゆる人に洋服を作り続けてきた行司 千絵さん。本書はそんな行司さんが、絵本画家・いわさきちひろ、詩人・茨木のり子、美術作家・岡上淑子の人生を装いから調べ語ったもの。
大正、昭和に生まれ、おしゃれの表現、美へのまなざしを自由の術として生きた3人の作家。厳しい時代に生きながらも、できあいの思想に頼り切りにならず、常にあたらしいものを柔らかく迎え入れ、時に鋭く研ぎ澄ましながら生きた、3人の表現者の記録は、袖を通したものに触れ、残された文章を紐解く、美のたねを拾い上げるような丹念な取材を通したもの。体を包む雰囲気を、優しく迎えたくなる一冊です。(原口)
著者
行司千絵(ぎょうじ・ちえ)
1970年生まれ.京都新聞社記者.独学で洋裁を習得し,3歳から93歳まで約80人に服を作る.服の個展に「母と私の服」(西宮阪急),「おうちのふく」(フォイルギャラリー)など.著書に『おうちのふく――世界で1着の服』(FOIL),『服のはなし――着たり,縫ったり,考えたり』(岩波書店)など
- 岩波書店HPより
著者:行司千絵
発行:岩波書店
サイズ:130mm × 187mm
その他:278P / 上製本