国書刊行会より、全5巻からなる<シュルレアリスム叢書>が創刊されました。第2巻は、レオノーラ・キャリントンの『石の扉』。
マックス・エルンストとの出会いを契機に、パリのシュルレアリスト・グループとの交流を深め、絵画、版画、タピストリー、彫刻、文学など多彩な分野で活動したキャリントン。第二次世界大戦後にメキシコへ移住した彼女は、やがてシュルレアリスムの枠を超え、ケルト神話や神秘主義カバラ、メキシコ神話など古代の神話や民間伝承にインスピレーションを受け、物語性豊かな独自の世界を築き上げました。本書には、占星術・錬金術・魔術が渾然一体となった壮大なメタフィクション「石の扉」をはじめ、不気味で残酷、夢とブラック・ユーモアに満ちた短篇20作を収録。短篇集『七頭目の馬』に収録された戯曲を除く全作品に加え、「砂の駱駝」「グレゴリー氏の蝿」「ジェミマと狼」も収められています。なかでも「石の扉」は日本版オリジナルとして抄録ではなく完全版で掲載。20篇のうち13篇が本邦初紹介となり、訳者・野中雅代による65ページにわたる詳細な解説と、キャリントン自身による挿絵5点も収録されています。彼女の想像力と精神世界の深淵に触れることができる、充実した一冊です。
著者:レオノーラ・キャリントン
訳:野中雅代
装幀:大倉真一郎
発行:国書刊行会
サイズ:130mm x 197mm
その他:448p / ハードカバー / 筒函入