元精神科医、しかし今は京都で静かに「石屋」を営む主人公を中心に、周辺で起こるささやかな事件を謎解き仕立てで描いてゆく不思議なミステリ作品。人間は誰しも過去があり秘密があり、そして希望がある。読者に謎をかけながらも、描かれているのはさまざまな人の心。そして舞台は京都・左京区の東にある哲学の道。その風景描写も織り交ぜながら描かれる人間模様4編に心が惹かれる連作短編集です。本書はこれまで当店でもご紹介してきた『京都一乗寺 美しい書店のある街で』『京都文学小景 物語の生まれた街で』に続いて、京都を愛する作家・大石直紀さんによる書き下ろし作であり、型染作家・関美穂子さんが装丁を手がけた三冊目となります。ぜひ他２冊もあわせてお楽しみください。

著者：大石直紀
発行：光文社（光文社文庫）
サイズ：105mm × 150mm
その他：277P / ソフトカバー