写真家・片岡俊による作品集『Life Works』
庭という、ごく限られた敷地の中で巻き起こる絶え間なる生命の栄枯盛衰、その私的空間にまなざしを向け続ける途上の1冊が、2024年に赤々舎より刊行されました。
半世紀以上にわたり、野菜や植物を育て、草をむしり水を撒く人の存在と、鬱蒼と育っては枯れるを繰り返す、自生する植物の存在。庭という限られた空間は関わる人々の影を写しながら絶え間ない変化と循環が続いて行く小さな星のようです。- 片岡俊
日々の炊事から堆肥を作り、水を撒く、その家と自然の間を行き来する園芸はかつて祖父の庭であったそう。実に50年という歳月をかけ続けられてきた営みの場の、その私的な世界に注目し、片岡さんは2010年頃より撮影しはじめます。やがて祖父が他界。手入れがされなくなった後も遺る、ほんの足元の世界に忘れられた園芸の痕跡や植物の営みの続き。
本作品集は、そうした一つの場所に積み重なる時間の経過と緑の生滅を写真を収め、留めたもの。
巻末に、農業史研究家である藤原辰史さんが「民の庭」というタイトルで庭の持ち主に触れながら文章を寄せておられ、装丁を名久井直子さんが務めた、小さく豊かな箱庭の、その営みに寄り添いし1冊。(原口)
著者:片岡俊
装丁:名久井直子
寄稿:藤原辰史
発行:赤々舎
サイズ:250mm × 188 mm / 上製本
その他:100p / 日英併記