見上げたらすごい満月だったみたいにいま気づいてるわたしの答え(伊藤紺)
試されることの多くて冬の街 月よりうすいチョコレート噛む(鯨井可菜子)
あかるくて冷たい月の裏側よ冷蔵庫でも苺は腐る(平岡直子)
どのページを開いてもあらわれる、どこかの誰かがみている、わたしの記憶にだけのこる「月」。あかるい月、遠い月、儚げな月、こわい月、やさしい月…。100名の歌人による月のうたを収録した短歌アンソロジー。月面を彷彿とさせる紙クロス、箔押しとインク印刷を組み合わせた装丁は前作『海のうた』につづき、脇田あすかさんによるもの。(韓)