美しいものは、いつの世でも
お金やヒマとは関係がない
みがかれた感覚と、
まいにちの暮らしへの、しっかりとした眼と、
そして絶えず努力する手だけが、
一番うつくしいものを、いつも作り上げる。
当店でもよく手に取っていただけている雑誌のひとつ、日々の暮らしを大切にする雑誌『暮しの手帖』。本書は初代編集長である花森安治さんのアートワークに注目し、100年を記念して、平成23年に出版された書籍。雑誌表紙を飾った原画、カットや手書き文字、新聞広告の版下、デザインの元になった下絵などすべてカラーで掲載。また、各章のはじめには花森さんの大切にしている哲学が添えられ、素晴らしいアートワークとともに、ごくシンプルでまっすぐに、その美学を伝え残す1冊。(原口)
[花森安治]
はなもり やすじ
1911年、神戸市生まれ。旧制松江高校を経て、東京帝国大学文学部美学美術史学科に入学。在学中より画家の佐野繁次郎に師事し、広告制作を手伝う。そこでコピーや、手描き文字、挿画、文字の組み方、色彩感覚を学ぶ。卒業後応召し戦地へ。病気除隊後、大政翼賛会の宣伝部に勤める。敗戦後の1948年、大橋鎭子とともに『暮しの手帖』を創刊、初代編集長となる。庶民に寄り添った衣食住の提案を行う傍ら、暮らしを脅かす戦争に反対し、環境問題に際しては、国や企業に対しても臆することなく鋭い批判を投じた。一方、表紙画、レイアウト、本の装釘、広告や服飾デザインなど、幅広い分野で芸術的な才能を発揮。1978年1月14日、心筋梗塞により永眠。享年66歳。ジャーナリズムと芸術的側面を持ち合わせた希代の編集長は、いまも多くの人々に影響を与え続けている。
-暮らしの手帖社HPより