ジュリアン・グラックの幻の散文詩集『異国の女に捧ぐ散文』の特製版として、2022年秋にエディション・イレーヌから刊行された《山下陽子オリジナル版画 II ・30部特製版》。本特製版には、IとIIの2種類があり、第二作目となる本作には、第XII章に寄せたオリジナル版画一葉と、その章の訳文を印字した特製紙一葉が、タトウ紙ケースと筒帯に収納されています。版画は挿画のイメージに合わせた用紙に刷られており、本作では、雁皮紙とFabriano Rosaspinaが使用されています。エディション・ナンバーは15番。グラックの詩的世界と山下陽子の版画が絶妙なハーモニーを奏でる、美しい詩画集をぜひお手元でお楽しみください。翻訳:松本完治 / デザイン:佐野裕哉(※栞の特典付き)
---想い出してほしい、閉めきった部屋と閉ざされた秘密の扉を
---想い出してほしい、忠実な血と堅固な要素を
---想い出してほしい、パンと、共に分かち合った夜を
---想い出してほしい、龍を打ちのめす大天使を。
(『異国の女に捧ぐ散文』XII章より)