「愛するということ」それは容易ではない。ただ、知るとどうだろう。第一章は、「愛は技術か」という問いからはじまります。
著者であるエーリッヒ・フロムはドイツで社会心理学、精神分析、哲学の研究をし、真に人間的な生活をする上での社会的条件を追及したヒューマニストです。
本書はエーリッヒ・フロムの代表作であり、世界的ベストセラーです。2020年、30年ぶりに大幅な改訳を行い装い新たに刊行されました。
人に愛される為にはどういうことが必要か?箇条書きに答えと思しき項目を挙げ連ねた様な安易な本ではありません。もっと本質に迫り、人生経験を深めていく過程にこそ真価を発揮するような1冊です。
人はひとつの独立した存在であり、人生は短く、また自分の意志とはかかわりなく生まれ、自分の意志に反して死んでいきます。人間は孤独で、社会や自然の力の中では無力です。
ゆえに、愛についての欲求は人間として、非常に強く根源的な欲求といえ、人間の実存の問題は、愛にかかっていると言っても過言ではないでしょう。日々のまなざしを変える大変価値のある本です。(原口)