商品名倚りかからず

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税込 638
(税抜¥580

商品番号 b_lad080

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難しい単語や捻った言い回しはなくとも、愛の強さ、感受性の豊かさに説得力のある茨木のり子さんの詩。
空腹を抱えて食堂に並び、空襲警報で防空壕に逃げまどう。劣等生である自分自身の絶望と、時代の暗さへの絶望を感じ、いっそ……と、悲観する日々。 唯一の楽しみが星を見る事、東京の疲労が一段と深くなっいて、多くの人は疎開している頃、茨木さんは世田谷の海軍療品廠で就業中に敗戦の放送を聞きます。そして二十歳、科学の世界から文学の世界へ。
凛としてあり続ける存在として語り継がれる茨木さんですが、そのとてつもない励ましを含む音の数々は、こうした戦争のもたらした苦痛や劣等の背景があります。

倚りかからず

もはや
できあいの思想には倚りかかりたくない
もはや
できあいの宗教には倚りかかりたくない
もはや
できあいの学問には倚りかかりたくない
もはや
いかなる権威にも倚りかかりたくはない
ながく生きて
心底学んだのはそれぐらい
じぶんの耳目
じぶんの二本足のみで立っていて
なに不都合のことやある
倚りかかるとすれば
それは
椅子の背もたれだけ

-『倚りかからず』より
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商品情報
著者茨木のり子
発行筑摩書房
サイズ文庫判 / 144P

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