「ベルリンうわの空」シリーズもいよいよ第3巻にして最終巻。どの街が自分に合うか、その街を構成する人々や価値観はどうか、ひとつひとつ実験するかのように暮らしてきた著者のその眼差しが生きるベルリンでの暮らし。気に入ったお店、カフェですれ違う人との交流、そういった些細に思えることの集積が人生をつくっている。かみしめながら生きる異国でのそんな日常とこれからが、本作でも淡々と描かれます。心地よい生活を自身でデザインすること、セルフケアを怠らない、人とのつながりを忘れない。「大好きな生活を続けつつも、刺激や変化を嫌わずに「こうありたい自分の形」 も更新していきたい」と語る著者・香山哲さんの、緩やかな向上心とほのかなやすらぎが一体となったベルリン生活。大切なことはどこにいても同じ。誰もが日々ぼんやりと思うことを独自の画風とシンプルな言葉で表現してくれる、不思議な異郷暮らしの漫画です。ちなみにタイトルは、人の関係を星座になぞらえドイツ語で「長い蛇」を意味する「ランゲシュランゲ」とつけたとのこと。暮らしと他者との交わりはこれからも続く。