器を扱う民芸品店を営みながら、だるまの絵付けを始めたことからお店の一角で扱っていた郷土玩具にやがて魅了され、いつしか日本全国の郷土玩具蒐集をライフワークとするに至った著者による郷土玩具の案内本。土地の文化や風習を色濃く反映し、その風土やそこで生まれた作り手の「クセ」が時にチャーミングに、時にアバンギャルドに、時にゆる〜く凝縮された個性的な玩具の数々。ことさら有り難がるというよりも「ヤバくないですか?」「グッとくるっス」と軽やかな語り口で愛着を語りながら、九州を中心に日本全国約350点の玩具を紹介するその姿勢に、郷土玩具の自由な楽しみ方と愛で方を「再発見」するよう。旅の案内や、ものづくりに携わる友人へのお祝いや贈りものを選ぶ際の参考としてもぜひ。「按田餃子」のオーナーでもある写真家の鈴木陽介の撮影、アートディレクターの田部井美奈によるデザインも、郷土玩具を新鮮でチャーミングな存在として若い世代に伝えます。ヴィヴィッドな色づかいが伝わるフルカラーの保存版。(涌上)