歴史ある婦人雑誌「ミセス」の粋を集めたような『ミセス全集』。「きもの」「味」「住まい」など、多岐にわたるテーマはさながら奥様の百科事典。昭和の家庭の文化史とも呼べる内容も興味深く、エッセイの執筆陣も豪華。そしてその写真やコーディネート、デザインの妙も独特の魅力にあふれて見応え十分です。家庭的でありながら、どこか艶やかで品のあるページづくりはさすがの一言。ミセスとして歩む女性たちの道筋を照らすような優しさと気品にあふれたこの全集。今の時代から見ると遠くなってしまった、古きよき昭和の婦人世界が詰まっています。こちらは第7巻「くらしのセンス=総合篇」。一人前のミセスとして恥ずかしくない暮らしのセンスとは何か、それにはやはり物事の知識をつけること。「おつきあい」「美容」「家事」など6項目にわけ、さらに細かいテーマについて語られるミセス指南。お茶のもてなし、見舞いの手紙、寝具の手入れ、読書のスタイル、そして弁護士選びまで。時代が変わった今も参考になるものも多く、なによりも美しい文章で語られる淑女としての心構えにはある種の普遍性も感じられます。エッセイの書き手も多様で、内藤濯、佐藤愛子、中原佑介、竹西寛子、なだいなだなど多士済々。東西の名画をイラストレーションとして多く用いる、優美なエディトリアルデザインも魅力的です。
※古い本ですので、函に若干のくたびれあり、小口や見返しにところどころ経年並のシミ等あり。函にも小さなくぼみなどが見られる場合があります。それ以外は中はしっかりしており読む分には問題ありません。なお、本全体に古本特有の湿った香りがありますが、古書としての通常の範疇を出てはいないと思いますので、事前にどうぞご理解の上、お買い求め下さい。