――もしきみが幸運にも青年時代にパリに住んだとすれば、きみが残りの人生をどこで過そうともパリはきみについてまわる。なぜならパリは移動祝祭日だからだ。
人生の冬を迎え、病魔に侵されながら、60歳になった作家アーネスト・ヘミングウェイが、パリで過ごした20代の自らの若き修業時代を回想する傑作。これまでにも幾つかの出版社から刊行された誰もが知る一冊ですが、こちらは小出版社土曜社が改めて発行した土曜文庫版。極めてシンプルなデザインと、読みやすさが魅力的な版です。パリでの生活は人生における移動祝祭日のようなものだったとたとえて回想する老作家の絶筆作品。翻訳は詩人・英米文学者の福田陸太郎によるもの。