「街と山のあいだ」をつなぐ小冊子“murren”(ミューレン)。Vol.23は、「山の拾いもの」をテーマとしたエッセイ集です。インドのラクダ石、木陰をつくるケニアの木の実、キプロスの草原のマツボックリ、八重山諸島の樹木の実、五島列島のマツバガイ、山で出会うトチの実、自宅の庭のスズメの羽根、拾わなくなった秋の落ち葉…。編者である若菜晃子さんが、山にかぎらず街のなかや旅の途上に見つけ、拾い、持ち帰ったさまざまな実や石や貝。拾った際の景色や季節、人々とのやりとり、モノの来歴、自身の変化。手に取ることで雄弁に語り出す「拾いもの」に記憶をあずけ、その体験と思索を丁寧に綴った20の小文と写真が収められています。街や山を歩くとき、見過ごし、忘れていた足元の小さなものへの感性を思い出し、育てるようにして読みたい美しい一冊です。