ビートルズのシングル盤を売り、そのお金で神戸へ。鞄には着替えと澁澤龍彦の文庫本。小説家、吉田篤弘がデビュー前に繰り返し訪れた神戸。そして、もうひとりの神様がいる街、神保町。音楽、古本、結婚。エッセイとも物語ともとれるような、瑞々しく、おぼろげな文章で青春時代を描きます。当時、神戸のホテルに泊まりながら思いついたという、架空のホテルの架空のメモパッドを舞台に描かれる幻の処女作「ホテル・トロール・メモ」収録。装丁はもちろんクラフト・エヴィング商會によるもので、ハードカバーながらこじんまりとした、ぜひ鞄に忍ばせて読みたい一冊です。個人出版社の夏葉社から。