その多くが江戸から明治にかけて作られた日本各地の郷土玩具。だるまや七夕人形、犬張子に赤べこ、ウサギの餅つき人形など、約3000あると言われているその土地土地で受け継がれた愛らしいおもちゃを、本書では甲斐みのりさんが丁寧に取材し拾い集めました。「郷土菓子」から始まった興味がやがて「郷土玩具」にも移り、民俗学的な意義も加えつつ、やはり「可愛いもの」を愛でる気持ちも忘れない。そんな、甲斐さんに見出され並べられた玩具たちの愛らしさには他にはない魅力が備わっています。その独特のフィルターを通してモノを選び活写する視線を、この本でも存分に楽しんでください。旅先の土産物屋で目にする何気ないおもちゃひとつひとつにも、宿る歴史と愛がある。それらがしっかりと読み手にも伝わってきます。各章ごとのコラムも必読。
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