「大きな資本力もコネも持たない個人が、誰にも頼まれていないけれど作らずにはいられなくて作ってきた、「小さなメディア」としてのジン」。この「ZINE」に、作り手としても売り手としても長く携わり続けてきた著者からみた「ZINEなるもの」を多様な視点から述べた興味深い、そして意義深いZINE入門書。自身が子ども時代から積み重ねてきた体験から始まり、6人のZinester=作り手たちへのインタビュー、ZINEイベントの現場など、ZINEの変遷からインターネットが定着した時代だからこその「今のZINE」の状況まで様々にとらえます。大手の無料配布物等とは異なり「自主的に、気軽に、小さな規模で」出版することが、ジンをジンとする条件、と語る著者からみた「作らずにはいられない人々、気がつくとつくっていた状況」は、自分の声で語る小さなメディアの可能性と豊かさを伝えるひとつの希望。すぐには何かを生み出さなくても確実に種をまいている、そんなZINEが今日も生み出されています。名著を数多く出してきた晶文社の「日常術」シリーズから。これから何かを作りたいと思っているどこかの誰かに勇気を。