“空よりも なにかを信じたい おれたちは しろい雨おとに すこしだけ 金属がふくまれてんのを しってた｜we who wanted believed in something other than sky knew that the white noise of rain contained drops of metal”

詩人、美術家、映像人類学者、ふくだぺろ詩集。イギリスの出版社“Commonword”より刊行されたこちらの詩集は言語を越境する一冊です。詩の表記は英語と日本語。各見開きに自由に配置された二対の詩。どちらから読んでも後を追って響くように、短いセンテンスで綴られたそれぞれに対応する言葉。詩は、斜めに配置されていたり、四角く囲まれていたりと定位置に収まらず、単語によってフォントやサイズも趣向が凝らされています。

出版社はイギリスですが、印刷は京都の印刷会社・修美社が手掛けています。日本からイギリスへ、また日本へ。世界を旅した過去をもち、様々な顔をもって芸術に取り組む著者だからこそ書き得た、自由な詩集。表紙の金の箔押し、毛布のような柔らかな手触り、夢の中を思わせる世界観。しっとりと、声と目で読みたい一冊です。