生まれ育った香川から東京、パリ、ニューヨークと旅するように暮らしながら、時代の表現を咀嚼し、描きつづけた画家、猪熊弦一郎。本書は、自分が愛するものを描き続け、身近なものに宿る美しさを大切に、激動の時代のなかで明るく生きた画家の人となりを紹介した初の「物語」作品集です。
生涯にわたる画業のなかで描いてきた数々の作品、世界中で出会い、集め、大切にしてきた日常品や美術品のコレクション、ガラクタを集めて作ったオブジェなどの創作物を撮りおさめた写真が物語をいろどり、画家が生きた時間とその息づかい、作品と不可分にあったライフスタイルを伝えます。また、猪熊とその妻が愛した数々のモノやインテリア、美術品などを、画家本人の手によるコンポジションのもと写真家の大倉舜二が撮影、長らく復刊を待望されてきた84年刊行のコレクション・ブック『画家のおもちゃ箱』も特別再収録。 没後25年、ファンはもちろん、画家を初めて知る世代にとってもいま出会えることの歓びを感じさせる一冊があらたに。
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