ジャズ、クラシック、ワールドミュージックなどジャンルの壁を超え活動する旧東ドイツ出身のコンポーザー/ピアニスト、Henning Schmiedt。国内レーベル、flauとのタッグでリリースしてきたアルバム諸作はその確かな音楽性と日常に馴染む美しい旋律から、いずれもロングセラーを記録しています。本作は、ピアニストが長年にわたって使用するスタジオのあるベルリン南東の地区"Schöneweide"をタイトルに冠した2年ぶりのソロ作。繊細なピアノの響きと電子音の重なり、穏やかで時に情感的な打鍵から生まれるメロウで流麗なメロディ。過去作「Klavierraum」や「Schnee」で見せた先鋭的な音響彫刻、ピアノの内部奏法から得られた躍動するリズム、ギリシャやトルコの伝承音楽や、ベルリンのインダストリアル・ミュージックからの影響。豊かな音楽的素養に貫かれながら、都市と草原を繋ぐ土地の空気とそこに流れた時間を伝えるかのように奏でられた美しき一作です。