奈良在住の詩人・西尾勝彦さんの新作が届きました。「光ったり眠ったり」とは不思議なタイトルですが、西尾さん自身の持つ柔らかなリズムそのままに、素朴ながら豊かに、シンプルだからこそ自由な空気をまとった独特の世界がこの本でも展開されます。「とうふの人」「のほほん製作所」「こたつ主義とは何か?」など思わず振り向いてしまう題が並ぶ目次を見ると、今回も、そのどこかとらえどころのない、しかし多くの人の心をとらえる不思議な詩のつらなりに魅せられてしまうでしょう。ほの明るく、どこか寂しく。詩の他に散文形式の作品なども混じり様々な形が楽しめる一冊。素敵な装幀は安福望さんで、安福さんデザインの「鹿せんべい栞」もおまけについています。ちなみにその栞には西尾さんの号とも呼べる「粥彦」の「粥」の字入りというファンにはちょっと嬉しい遊びも施されています。
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