作家・開高健の繊細かつ力強い創作を支え続けてきた愛用品、または思い出の品々。それらが緻密なイラストとともに紹介された「作家とモノ」の魅力がつまった一冊がこちら。ベルト、煙草、ライターにパイプにナイフなど男らしいハードなものから、聖書にお守り、なぜか正露丸まで、旅することの多かった自身の作家活動の中で忘れられないモノとの出会いと数々のエピソード。それらが正に開高調とでも呼べる独特の名文で綴られ、知らぬ間に読者も開高文学の旅の同伴者に。この人の文章を読めば、なんでもないはずの物たちが鈍い光を放ち出し、やがて唯一無二の輝きを備えるように思えてきます。それこそが作家がモノを語る醍醐味であり、それを享受する読み手の幸せであると言えるでしょう。
こちらは古書となります。経年によるカバーのくたびれ等は見られますが、本文は特に目立ったダメージはありません。帯付き。