哲学者、文人、芸術家と様々な顔を持つ串田孫一。本書は、その豊かな創作の手助けをした数々の文房具への思いを語った文具愛に満ちた随想集です。帳面、万年筆、画鋲や下敷きから、貝光や吸取紙など今ではあまり見なくなったもの、更には束見本などに至るまで。自身の作業机を賑わし潤わせてきた愛すべき相棒たちへのいたわりと愛情、時には友情すら垣間見える実にこの人らしい文章は、文具、文芸、文化を愛する人々への美しい贈り物とも言えるでしょう。時代や地域、性別を問わず常に人々の心をとらえ続けて来た、「文房具」という物の持つ特殊な魅力への清々しいオマージュ。
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