2015年6月から12月まで、当店コテージにて開催された「本とその周辺をめぐる、6か月とちょっとの旅」。小説を書き、紙に束ね、一冊の本にして読み手に届けるまでを体験するワークショップの成果が一冊の本としてまとめられました。収められたのは未知の書き手たちによる9つの短編小説と1つのエッセイ。講師をつとめた小説家の福永信さんが、編集者のように伴走することで磨き上げられた瑞々しい文章群です。同じく講師をつとめたデザイナーの仲村健太郎さんによる、クロス装に銀の箔押しを施された手に馴染むブックデザインが小説をやさしく包み込みます。短編から立ち上がる情景を描き留めたスケッチのような印象深い挿画は、ワークショップ参加者のマメイケダさんの手によるもの。発行は、元・恵文社一乗寺店店長で本ワークショップの企画者、堀部篤史さんが店主の誠光社より。文章を書く人、本の形を考える人、読み手に手渡す人がともに旅をしながら一冊の本を作り上げる、すべての本がそも内包するはずのその過程が可視化された本書は、書かれたものを読むこと、作り上げられた本と交わり関わることの魅力と楽しみをあらためて読み手に再認させてくれることでしょう。
収録内容: (小説) 「一人の時間」田村友里/「ぱんがいて わたしがいて」芦井美由紀/「誰かがそう呼ぶ」迫田海里/「或る朝」小野寺机恵/「小さな足音」鶴原早恵子/「オルタナ・ガールフレンド」山内優花/「炭酸水」福岡優子/「梅干し」井浦美紗/「グリズリー」中西一貴(エッセイ)「都会の暮らしの中で」池田真美(インタビュー)堀部篤史 すべては十九の夏から始まった。(座談会)小説ができるまでと、ちょっとの話
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