59年9月号の「美術手帖」、特集は「サルバドール・ダリ」。ダリの存在感が粗末なページの紙を通してもビシビシと伝わる力のこもった特集です。瀧口修造、針生一郎らによる座談会やグラビアなど。そのほか亀倉雄策のインタビュー、「チェコの人形映画」としてチェコアニメの魅力を伝えるページなども見応えあり。そして何より北園克衛、田中一光、杉浦康平による「詩によるタイポグラフィの試み」が素晴らしい。50年前の熱く濃い美術手帖の世界が堪能できる秀逸な号ではないでしょうか。若干のくたびれ・変色等はありますが、おおむね古書としては標準的な状態で、本文を楽しむ分には問題ありません。